不妊相談
不妊症の検査
1) 不妊原因を調べるための基本的な検査
不妊症の最も基本的な検査は、
- 排卵しているか
- 卵管が通っているか
- 精液に問題はないか
を調べるものです
この3つの検査の少なくとも1つに大きな異常がある場合、すなわち、排卵が全くない、両側共の卵管が通っていない、精液に大きな問題があるといった場合には、治療を行わなければ決して妊娠できません。不妊外来では、まず第一にこれらの検査が行われます。まずこの最も基本的な検査について説明しましょう。
1) 排卵しているかどうかを調べる検査
A:基礎体温
毎朝、起きた直後に婦人体温計を舌の下にはさんで舌下体温を測り、基礎体温表に記入します。低温相と高温相の2相に分かれていれば排卵があると判断します。また、基礎体温により自分の排卵日を予知することはできません。
★一言
基礎体温が下がれば排卵だと思っておられるかもしれませんが、これはウソで、その頃に体温が上昇すれば排卵が終了したと考えるべきです。
B:超音波検査による卵胞の観察
卵子は液で満たされた卵胞という袋に入っています。卵胞は月経が終わる頃から毎日直径が1.5mmずつ大きくなり、直径が20mm前後になると卵胞が破れて中から液と共に卵子が流れ出ます。これが排卵です。超音波で卵胞を観察していくと、排卵に近づくにつれ卵胞がだんだん大きくなり、排卵と共に卵胞が消えてしまうのがわかります。このように排卵前後に何回かの超音波検査をすることにより、排卵を確認できます。卵子は直径が0.1mm程度なので超音波では観察できません。
2) 卵管が通っているかどうかを調べる検査
C:子宮卵管造影
子宮腔にカテーテルを入れ、造影剤を注入し、造影剤が子宮から卵管を通り、腹腔内に流れ出す様子をX線で観察します。子宮腔の形、卵管の通り具合、卵管の太さ、卵管の出口周囲の癒着の有無などを調べることができます。また、治療的な効果もあり、この検査をしてから3ヶ月位は妊娠しやすくなります。
D:腹腔鏡
全身麻酔をかけて、へそのあたりから内視鏡を腹腔内に差し込み、子宮や卵巣、卵管などを観察する検査です。腹腔鏡を見ながら、青い色素を子宮内に注入し、卵管の先から色素が流れ出てくる様子を見ることにより、卵管が通っているかどうかわかります。また、卵管周囲に癒着があるかどうかや、子宮内膜症があるかどうかなどもわかります。
3) 精液の状態を調べる検査
E:精液検査
マスターベーションにより精液を採取し、顕微鏡で観察し、精液量、精子濃度、精子運動率、精子奇形率などを調べる検査です。