No,121 平成18年4月21日(金)

集中力のこと■   小児科医師 中山 真里子
 独特の香りとともに目の前にひろがる黄色の絨毯(じゅうたん)。北川の土手は菜の花が満開です。時を違えず咲き誇る色とりどりの春の花々。陽気に誘われてこれらの花々を愛でながら散策にいざ戸外へ、と行きたいところですが、時ならぬ四月の雪、台風なみの春の嵐などやはり今年は異変?暖かいぽかぽか陽気にはなかなか恵まれず冬物と縁が切れず、花冷えという美しい言葉では許容できないと思われるほど気温が低く感じられます。早く春爛漫を満喫できる天気になってほしいものです。

 さて、四月は新生活が始まる時、当院のスタッフの中にも進学、就職などで家を離れて一人暮らしを始めるお子様を送り、寂しさを感じている方も多いようですが、過去の自分の姿を思い返すと、そうして子離れ親離れをしていくのでしょうね。一人ずつ家を離れ、親だけが残されて行く。現代の高齢化社会ではなおさらその思いが強いようです。それら悲しみや寂しさを解決してくれるのはやはり時の流れなのでしょうか。

 そこで、残された大人が体や頭がボケないため、或いはその予防にと“大人のための○○ドリル”等が売られているのを今までは横目で見ながらも実際には手にしてなかったのですが、我が家にもついにそんなゲームソフトが到来し、脳を使い、鍛える術に熱が入り、はまってしまいました。

 毎日、画面に向かいペンを走らせないと落ち着かない気分にさせられ、必死に課題を解いている次第(そんなゲーム)です。画面を見続け、終わるとボーとしてしまい、疲労を感じるということも。答えが合っているのに数字をきちんと読み取ってくれず。間違いの∨とされると心が乱れ、次の問題の回答が遅れて・・・などと学生以来の受験生のようで可笑しくもあります。外国でも発売の予定とか。世界的にも受け入れられるのでしょうか。

 それにしてもやはり集中力がいかに大切かを痛感しています。有名なスポーツ選手が試合前、自分の世界に入り、ひたすら集中力を高める姿をテレビで見たことがあります。そういえば、能楽の世界でも舞台左手、揚幕(あげまく)の奥は「鏡の間」といって板張りの一画があり、そこへ演者は出演前に入り、その人物になりきる時間を持ちます。これも集中力を高める作法なのです。

 普段の持てる力を、いえそれ以上を出すのは最終的に集中力なのだと思います。(ちなみに、いつも締め切りを過ぎ、ご迷惑をお掛けしているこの原稿の場合は集中力だけでは書けない“ネタ”不足なのでいかんとも仕方ありませんが・・・)

 だから遊びやテレビに夢中になっている息子が呼んでも返事をしないほどの集中力をもって授業にも家でも勉強にも発揮されたらどんなにすごいことか、と思うのは親のないものねだりかも知れません。

■Boyishな末娘■  看護師 Y・T
 昨年末、当院は当地での開院10周年を迎えました。その開院間もない頃、私は3人目の子を妊娠し、その子も今年の秋には10歳になります。

 私は産後すぐ仕事に戻り、仕事2/3、家庭1/3というような状態で、育児も祖母と小一の上娘と年中組みの中姉の2人が助けてくれました。

 妊娠中に夫が亡くなったため、この末娘は父という存在を知らずに大きくなったので、仏壇の写真や姉たちのアルバムを見てはお父さんはどんな人やったの、とよく聞いておりました。でも、最初からいない父親なので、姉たちよりは寂しさは少なかったのではないでしょうか。その末娘なんですが、最近はどう見てもBoyなんです。男の子と遊ぶ方が楽しそうで服装も男の子、髪の毛も短くカットして、誰が見ても男の子です。大好きなことは野球とドッジボール!どこでどうなってしまったのか?女の子に戻る日は来るのでしょうか。

 2年前にこの子供達に父親ができました。まだ直接“お父さん”とは呼べないけど2人がキャッチボールをしている姿は、仲良い息子!に見えるのは私だけじゃないと思います。

 あ と が き
 全国的産婦人科医の不足の中で当院が当地域に貢献できていることを改めて自負し職員一同ますます精進したいと念願しております。どうかご支援下さい。
 どなたも一度、インターネットで産婦人科関係を検索してみてください。恐るべき各地の実態が浮き彫りになってきます。
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