No,120 平成18年3月20日(月)
■産婦人科と小児科の悩み■ 院長 中山 茂樹
いっきに春らしくなり、目に映る自然がみな新鮮に感じられる頃ですが、皆様は如何でしょうか。
今、世の中は少子化・人口減少と並び産婦人科・小児科の医師の減少が取り沙汰されています。小浜市も2年前より自然人口減少となっており、年々それは顕著になってくるものと思われます。10年先には人口は2万5千人位になってしまうのではないかと思います。そうすると、小学校、中学校、高校の児童、生徒数も激減し(高齢者は増えますが・・・)、日常生活も思わぬところで様変わりするのではないかと思われます。
少子化防止には、今のところこれといった手当てはないようです。1985年頃より産婦人科医たちは少子化が顕著になることが明らかなので早くに対処しなければと折りあるごとに訴えていたのですが、なかなか現実味を帯びないと危機感が持たれないようです。これからどう対応していくべきか、全国的には無理としても各自治体ごとに何らかの方法を取り入れる必要があるでしょう。自分たちの市や町村が滅亡するかもしれないという危機感を募らせれば何かいい方法が出てこないとも限りません。
国としては出産費用や育児手当の手直しを策定しているようですが、これはしないよりはましでしょうが特効薬にはならないと思います。
さらに、産婦人科医や小児科医の減少もうなずけます。きつく、きびしい現実を知れば後継者は尻込みするのも致し方ありません。特に産婦人科は設備投資や運営費が随分かかるのに医療費は他の科と同じなのですから。インターネットで「産婦人科」を検索して見ていましたら、中にこのような新聞記事がありました。(YOMIURI ONLINE(読売新聞):医療>医療ルネサンス>産科 厳しい現実に尻込み(2006年3月25日))これがまさに現実の日本の産婦人科医の悩みです。
私の思いますには、まず第1、医師としての誇りを持つこと。但し、それは地位や身分や収入に対してではなく、命を助け、患者さんに役に立ち、喜ばれる職であると言う点で。第2に、医師の仕事の中でもとりわけ産婦人科や小児科は、この世は人間あって成り立つこと、“人は城、人は石垣、人は掘り”である、その人間を生み出し、育てる手助けをしている意義の深い職であることを自覚することに尽きると思います。とはいえ上記の記事のような思いがあることは否めません。あとは上に述べたことに対する大方の皆様の多くの理解を得たいと願うばかりです。
■娘の巣立ち■ 看護助手 S・H
3月3日のひな祭りの日に長女が高校を卒業しました。私の高校時代に比べ、今は勉強、勉強と責められ楽しいことなんてあるんだろうかと思って見てきました。子どもの小さい頃は早く大きくなってほしいと望んだものですが、家にいるのもあとしばらくなんだなあと思うと涙もろい私は泣けてきます。
結果が出るまでいろいろ相談にのって下さり、アドバイス下さった方、ありがとうございました。
娘は看護師になるため4年間、福井のほうに行きます(編者注−福井大学医学部看護学科)。「可愛い子には旅をさせろ」という言葉の通り、外に出していろんな勉強をさせたいと思っています。そして、看護師になって、たくさん稼ぐようになった時には、これまで助けてもらった方々にお返しできるように・・・。
あと4年間は、私も今まで以上に病気もせず、がんばって働かなくっちゃ(学費も要ることだし・・・)と思っています。
娘が合格できたのも、学校の先生方、友達、親戚の方、家族の励ましのお陰だと感謝しています。
あとがき
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1) 当院、一般待合室、ミニギャラリーは7ヶ月の長きにわたり展示させて頂いていた松宮 昂(たかし)氏の油絵のあと、貫井泰一郎氏(小浜市遠敷 ずっと高校の美術教師)の現代書(アブストラクト)に替わりました。書家である氏は分かりやすい書を書かれるかと思うとこんな抽象的な書も作製されます。何という字がデフォルメ(変形)されているのか、お分かりになりますか。 2) 当紙No.62(平成13年5月16日発行)は当院が当地で開業しての5周年記念としてお招きした当時の衆議院副議長・渡辺恒三(わたなべこうぞう)氏の特別講演を特集して掲載しております。今読み返してもなかなか含蓄ある内容です。氏は急にテレビによく出るようになり今や民主党の救世主の風貌があります。 3) 院長の文にもありますように当院の診療科目の産婦人科と小児科は看護師さんの仕事も大変なのです。どなたか助けて下さる方いらっしゃいませんか。