暖冬の予想が大きく外れ、雪も近年になく多く、寒さ厳しい12月、1月だっただけに梅のつぼみもふくらみ始め、日差しも徐々に明るくなり、日も大分伸びてきた今日この頃、高まる春の足音になんとなく心が弾む思いです。縮こまっていた身も心も少しづつ伸ばせそうです。でも、だまだま油断は禁物です。(インフルエンザの流行はまだ終わっていませんので)
先号で院長が触れましたようにこの地で開院して早、10年経ちました。これもひとえに皆様方のご支援のお陰と心より感謝申し上げます。ありがとうございます。10年間があっという間だったように感じるのは幸いか不幸か私の精神年齢が変わっていない(成長していない)ためかも知れません。
しかしながら、この10年間で医療界は大きく変化しました。身近なところですとインフルエンザ。10年前には予防注射の効果が疑問視され、集団接種が中止されまた対策療法しかなかったため流行も今より大きく入院が必要となる方も多かったのです。その後また予防注射の効果が見直され、かかった時には検査し、診断して、抗インフルエンザ薬(例えばすでに有名なタミフルなど)で治療すれば軽症ですむという、大げさに言えば昔を知っている者にとっては今は夢のよう、と言えそうになりました。
勿論、新型インフルエンザなどと言われる新たな感染症の出現の恐れはあり、医療はその後追いに懸命となっていますが、人類の叡智がきっとそれらを凌駕してくれることを期待したいものです。
次に、予防注射法については、BCGの場合、生後6ヶ月まで(ツ反応なしで)の1回接種となりましたし、さらにこの4月からは、麻疹(はしか)と風疹の混合ワクチンの2回接種を導入するようになったのも10年前とは大きな様変わりです。これらは携わる者にとっては本当に喜ばしい大歓迎の変化でした。
さて、この10年、世の中これら喜ばしい変化ばかりではなかったようです。子供たちをめぐる環境の余りの悪化には心が痛みます。犠牲になる幼い尊い命。想像を超えた犯罪、加害者の低年齢化、余りに人為的な事故などなど、10年前には思いもよらなかった“信じられない”を連発したくなる状況が続いて起きています。通学路に危険が潜み、学校が安全の場所でなくなり、無邪気に野山を駆け回り思いっきりあそぶ場所が無くなりました。これら悪化する国の病状には予防注射や治療薬を生み出せるのでしょうか。そんな不安を抱いてしまいます。
一方、自然現象のほうも心配です。異常気象か、豪雨、豪雪、世界的な地震など、この10年間の様子は人間の心も地球も病んでいる、と言いたくなります。インフルエンザのような特効薬などできそうではないようです。
そこで、私のような凡人はそれら嘆いてばかりいないでせめて他人事と考えず、手近なところで、面倒くさがらず、できることからやっていきましょう。例えば、ゴミの分別、自然界にきっと良い結果となるでしょう。よその子に注意する、煙たがられるオバサンになりますがいつか子供の命を守ることになるかもしれません。
当地で開院10年を迎えた新年、この10年を振り返り、世の変遷に思いをやりながらささやかな決意をしたような次第です。 |
|