No,107 平成17年2月21日(月)

■スペインで見たもの■  総 務 松井 正
 もう半世紀近い前、ラジオでギター曲「アルハンブラの思い出」を聞いて体に染み透る感銘を覚えたことがありました。そのころは今ほど音楽がちまたに溢れていなかったし、私の心身がかつえていたのかも知れません。以来その「アルハンブラ宮殿」を見たいという思いがずっと頭から離れなかったので今回のスペイン旅行でやっとその念願がかないました。

 この曲はスペインのタルレガ(1854〜1909)の作曲、演奏は日本人の高嶺 巌(たかみね いわお)氏であることは後で知りました。高嶺氏は慶応大学文学部出でありながらギターにのめり込み昭和33年頃からヨーロッパに渡りスペインを放浪した人です。

 わずか3分程の間に哀愁に満ちた曲は流れるように重なるように、高まったり低まったり、トレモロの旋律の美しさと感情の静謐な起伏がやがて遠くへ過ぎ去っていきます。思い出が過ぎ去るように。

 ギターの原型は古代エジプトですが、16世紀頃スペインで完成されたと言われています。どなたもご存じのギター曲「禁じられた遊び」も作曲はスペイン人ですが、原曲は同国の民謡だとか聞いたことがあります。むべなるかな。

 今回は家内と我々の友達である女性2人を加え、4人のグループでツアーに参加しました。総勢11人、男は私1人でした。

 スペインといえば物知りはすぐバルセロナのガウディの建築を見てきたとか、と聞くのですが、それは次回にでも、と答えておきます。

 見てきたのはマドリッドにある世界三大美術館の一つ「プラド美術館」と近くの世界遺産のトレドの町、遠く離れてセゴビアに建つ、映画「白雪姫」の城のモデルになったアルカサル城と、カテドラル(大聖堂)。それに2世紀にできた全長730m、高さ30mの花崗岩の水道橋(写真)。そこから400km南下したグラナダではイスラム王朝がスペインに残した装飾美術の粋、地上の楽園「アルハンブラ宮殿」と世界遺産アランフェスの町及びラマンチャ地方の風車村等。それにフラメンコショー等々。

 紙面がないので一々の感想は書きませんが、お目当てのアルハンブラ宮殿は、キリスト教徒が8世紀からおよそ800年もかけて当時スペインを支配していたイスラム教徒を追い出した戦いレコンキスタ(国土回復戦争)のイスラム側の最後の砦だったことを初めて知りました。

 スペインのあちこちのイスラム教のモスクがキリスト教のカテドラルに取って代わる宗教の勢力争い、宗教戦争の凄さを知りました。セゴビアのカテドラルを見て“ここにはどんな神もいない、あるのは権力の誇示だけだ”という誰かの言葉は、ヨーロッパのあちこちで見たどのカテドラルでも私は早くに感じていたことでした。

 その他、十字軍やテンプル騎士団の変遷、変質など、説明を聞いていると日本人は余程淡白な人種なのかな、と思ったりしました。(そういえば、過日読んだ「ダヴィンチ・コード」という分厚い推理小説にも綿々と尾を引くテンプル騎士団が描かれていました。)今のイラクでのアメリカの所業もすでに指摘されていますが、こんな2宗教の歴史的確執が底辺に流れているのでしょう。
写 真
セゴビアの水道橋。2世紀ローマ帝国の時代、しっくいなど一切使わず花崗岩だけを奴隷に積み上げさせて造った何キロも彼方から水を引くための建造物。上はその下で筆者。

 あとがき 
1)当院ミニギャラリーは長らく 吉田 正喜 さん(小浜市山手)の能画でしたが来月から差し替えます。堪能しておいて下さい。
2)やっと当多田地区においても下水工事がはかどっています。ために当院への道路や入り口において不便をかけていますが、あと暫くご容赦下さい。
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