No,100 平成16年7月21日(水)

■忘れ上手もよしあし■   小児科医師 中山 真里子
 昨年の冷夏とはうって変わって雨の少ない梅雨で6月から早くも夏がやってきたかのように気温の高い日が多く、連日の暑さに驚くばかり。各地で最高気温を塗り替えています。このためか、早くから夏風邪のウイルスたちが活発のようです。皆様体調はいかがですか。

 この天候で水不足を心配していたところ、13日には新潟中之島町で、18日には当県嶺北の美山町、福井市や鯖江市などに局地的な豪雨があり、改めて自然の脅威を感じました。同じ県でもこうも違うのですね。被災地の困惑は計り知れなく、一日も早い復興を祈らずにいられません。

 四季がはっきりしていて、季節の移ろいを楽しめる日本のはずが、近年、春と秋を十分に味わえなくなっているように感じるのは私だけでしょうか。その上、このところ日差しも強く、皮膚が痛く“焼かれる”と感じるほどで、やっぱり高層のオゾンが破壊されているからか?と思わされ、異常気象と共に地球環境の変化が気になります。

 時は太古から同じ速度で刻まれているはずですが、今を生きている私には目まぐるしく流れているように感じ、毎日を小走りで過ごしています。思えばこの地に開業して早9年、このスマイルタイムズも今号で100号を数えました。図々しくも気持ちだけは10年前と変わらず、いつも前を向いていたい方ですが、自然には勝てません。時には後ろを振り返ることも必要ですね。“初心”を思い起こすと新鮮な気持ちになれます。

 人間はつらかった事等は忘れるようにできているから、うまく流しながら生きているほうがよいので、それがいつまでも突き刺さっているとPTSD(心的外傷後ストレス障害)として、心身に影響を与えてしまいます。自慢じゃなくて私は本当に図々しくできていて、もう少し覚えていたほうが、思い出したほうがいいことでも、忘れ上手で、今を生きています。(ただ、流されているだけ、とも言えるかもしれませんが・・・)

 4月から小学生となった息子に“生れてくれたありがとう”とか“よくここまで育ってくれた”という感激を忘れ、ひらがなが書けるようになると“もっときれいに、丁寧に”と次々、要求が膨れます。「立てば歩めの親心」だとも言えますが、マイペースの息子に朝などは特に時間を気にしながら、ついつい口うるさくなってしまい“おばば”と言われ、頭を触りながら“やっぱり角を隠してる”と皮肉られ、はっとすることもしばしば、反省の連続です。育児書のありがたい教えをすっかり忘れ、“ダメにする”“やる気を無くす”ことばを浴びせる毎日です。これも忘れ上手なのか、とまた反省です。

 夏休みの宿題はいつも夏休み終わりに両親に叱られながら仕上げていた自分の子供の頃を忘れて、息子はそうはならないように(絶対、親に似ているので同じようになる、親以上であるはずがない、と内心では思い矛盾を感じながら)口うるさく言いそうな気がしています。忘れ上手も困ったものです。

 さらに暑い夏となりそうですが、初心や出会いの時の気持ちを忘れずに、せめて心は涼しく、さわやかに過ごしたいものです。

■8年ぶりの妊娠■  看護助手 M・I
 私には10歳と8歳になる二人の娘がいます。数年前からどうしても3人目の子供が欲しくて・・・でもなかなか授かることができず、1年ごとに諦めの気持ちへと変わってきました。そんな年月が過ぎ、早いもので二人の子供たちも小学校に通い始め、昼間少し自分の時間もできるようになり、仕事に出れば気分も変わり、いろんな事が経験できていいかな〜と思っていた頃、当院でお世話になることになり、今年の9月で早3年目に入ります。

 当院で毎日生れてくる赤ちゃんの可愛い寝顔や仕種を見るたび、私も幸せを感じています。家に帰ると次女が“今、病院に赤ちゃん何人いるの?”“男の子と女の子どっちが多いの?”と毎日のように聞き、“妹か弟がいたらいいな〜”と言うので私も「いたらいいね」と答えていました。

 今年になったある日、次女と一緒にお風呂に入っていると“お母さんのお腹に赤ちゃんが入っているよ!”と言うのです。私は「太っているだけよ!」と笑っていました。でも数日後、体もだるく、しんどいので診察していただいたところ妊娠と分かり、喜びで胸がいっぱいになりました。すぐに子供達に話すと、長女は“赤ちゃんが生れても今までと同じように可愛がってよ”と言うのです。主人も私もその言葉に驚き、子供の気持ちには複雑な思いが起きるものだと感じました。次女の方は“私もお姉ちゃんになれる”とすごく喜び、“元気で出てきてね”としきりに私のお腹に話しかけてくれます。

 今では大きくなったお腹に子供達が手を当てては“あっ今赤ちゃんが動いたヨ”“ここ蹴ってるみたい”と話す笑顔を見ながら、毎日生れてくる日を楽しみに、指折り数えて過ごしています。

 あ と が き
 去る6月30日(水)夜、小浜市四分一の法雲時で行なわれた法話の会(翌日が擂り鉢やいとの行事)で院長は集まった100人あまりの善男善女に「ボケ防止策」や「婦人科的老化を防ぐ法」について講演しました。善男善女は深く頷いておられました。

 次号に講演の要旨を記載する予定です。
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