No,68 平成 13年11月20日(火)

■高校生はどこまで知っているのかナ■  院長 中山 茂樹
若狭東高校での妊娠と性感染症の講演
 この間、テレビドラマで"自然は子孫からの預かりもの″と言っているのに感銘しました。今こそ自然を考えておかないと将来どうなるか。はたして私達が魚捕りをしたような小川がいつまでもあるのでしょうか。皆さん一緒に考えてみませんか。

 さて、この15日に若狭東高校生約650人を前に「妊娠と性感染症」の話をさせて頂きました。まずこれだけの数になると一人一人の「性」に関する知識も随分異なるだろうからぜひ正確な知識を持ってもらうこと、極力簡単にしながら病気に対して盲目的に恐れを抱かないようにしてもらうこと、というつもりで話をさせて頂きました。資料の取捨選択やスライド作りなどが大変でしたが、自分自身の再認識や勉強に大いに役立ちました。でも、ひょっとして生徒諸君の方が私よりもっと知っていることがあるんじゃないかな?という思いが少し頭をかすめましたが・・・

 「性教育」というより性にかかる正確な知識を持ってもらうために妊娠の話をするのは小学生の高学年から中学生の低学年の間かな、とも思いました。性をむやみに避けようとしたり否定するよりは責任を持って向き合い肯定するほうが正しいことは言うまでもありません。ただその方法が難しいのです。

 その昔、私が中学2年生の時、私の机の上に「How to sex」という本が唐突に置かれていたのを思い出します。その本に関しては誰が置いたか等の話はずっと出ませんでしたが、最近になって父親のしわざであることを確かめました。

 この本は何回も繰り返し読みましたが、その時、なぜ妊娠するかは本当はよく分かりませんでした。というより妊娠に関しての現実味はありませんでした。ところがその後、ひょんなことから医学部に行き、産婦人科を専攻して今や、妊娠していただくためにどうすればいいのか、悩みは尽きません。

 妊娠の問題とは別に、性に関しては性感染も多様化しているように思えます。エイズや梅毒、B型肝炎にしても死に至る病と言えなくもありません。性の奔放な自由化の恐ろしさを知り、性の問題を正確に理解して、予知、予防に高校生が心がけてくれることを願ってやみません。

若狭東高校での講演中の一コマ。
院長が医学部生の頃、所属していたラグビー部でニュージーランド遠征を果たした時のエピソードを語っている。


■お手伝いとお小遣い■  看護婦 Y・H
 「お母さん、何作ってるの、僕お手伝いするよ」と。“あらめずらしい・・・それよりそこに散らかしてあるランドセルや教科書を片付けて欲しいなぁ・・・”と思いながらも嬉しい申し出を受けることにした。「今日はカレー。野菜を切るの手伝ってくれる?」と言うと、さっそくジャガイモ、ニンジン等、皮むきをして、切ってくれた。少々不揃いであったが、下ごしらえを全部一人でしてくれた。成長したものだなぁと感心しながら「ありがとう、とても助かった」と言うと、「ねぇ、お母さん、お手伝いって楽しいね。これだけ手伝ったらおこづかいくれる?500円玉ほしいなぁ」と。しばし黙っていたが、ぐっと気持ちを押さえ、「お手伝いとはお金をもらってするものではないの。家族みんなで生活しているのだから、皆が協力して助け合うのは当たり前のことではないの?」と話したが、不思議な顔をしていた。

 私は小学生にはお小遣いは必要ないと思っているが高学年になるとマンガ、ゲーム等々お小遣いが必要になるらしい。私の子供の頃、お小遣いを貰った記憶はないが、不自由した記憶もない。子供の生活様式が変わってお小遣いも増えたのだろうが、それにしても大人は子供に安易にお金を与え過ぎてはいないだろうか。自分の息子も含めて、そう思うこのごろです。

あとがき
1)当院ミニギャラリー第30回に展示中の岡見昇さん(小浜市甲ヶ崎)は今月23〜26日、福井新聞コミュニティーホールで仲間と「もぐら展」を開かれます。ぜひ皆さんご覧下さい。

2)当院、恒例の1泊旅行は今月3、4日と22、23日に分かれ、いずれも大阪(主としてアウトレットショップ)と淡路島に賑やかに行って参ります。

3)当紙、66(9月)号に職員のIが「美しい人間の卵(らん)」という題で文を書いていますが彼女は目下、魚の卵による体外受精の研究をしています。これで栄誉ある賞が狙えるか。
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