No,62 平成 13年 5月16日(水)

■特集  21Cは物の幸せから心の幸せへ■ 
渡部恒三氏、当院のために特別講演
 この12日、当院が小浜市多田の地において新規開業して5周年になるのを記念し、祝賀会を市内のホテルで催した際、現衆議院副議長の渡部恒三氏が臨席、「21世紀の日本」と題して講演されました。以下はその時の講演要旨です。

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日本のエネルギー政策の責任
 私は福島県、会津磐梯山の麓、会津若松の山奥で生まれた。志を立てて36歳で国会議員になった。
 衆議院のエネルギー政策の責任者として、福井県若狭には何度か現地視察で来た。日本で原発が一番多いのは福島県、次いで福井県。私の田舎に帰るのには東北新幹線を使うが電気のお陰だと思っている。福井県と福島県の二つの「福」は日本の皆様に大きな恩恵を施している。


国の膨大な借金をどうするか

 21世紀の日本は明るいか。日本は今や地方、国を入れて国民から666兆円の借金を抱えている。一人当たり666万円。宮沢さんや堺屋さんなんか今に日本の景気はよくなる、と楽観しているが成長が年3%としても1年2兆円、国民に借金を全額返済するのに333年かかる。そのときは24世紀になってしまう。


それでも世界の中では日本は金持ち

 開発途上国へ行くと日本の代表というだけで大金持ち扱いされる。世界の国は債権国と債務国に分かれているが、他国に金を貸しているのが債権国、その国の代表はアメリカではない、日本が一番。日本の国民からは金を借りて他国にやっている。東南アジアではあの橋、あの学校、この病院は日本が作ってくれたと喜ばれる。その点では確かに日本は金持ち。


鉄と技術で儲けたが

 戦後、日本は鉄の原料を輸入して鉄板に加工し、何万トンの船を作り、自動車を作り、やがては電気製品の方に移り、安さと一杯の技術を世界に売って金持ちになった。労働者の賃金もよくなった。しかし、やがて安い労働力と輸出された技術で東南アジアで作るほうが安くなった。看板はソニーでも中身は東南アジア製になっている。産業の空洞化が始まっている。


軽薄短小で生きる

 これからは重厚長大なものより、東南アジアではできないIT関係の、軽薄短小の、例えばICチップなどの物造りで日本は生きる道を探さねばならない。森君は総理になったとたん、アイテー、アイテーというものだから誰に会いたいのかと思ったが、言うてることは間違っていなかったと思う。


子供の携帯電話は困ったことだ

 日本で携帯電話を持っていないのは天皇と私ぐらいのものだ。子供のために親が携帯電話代を月に2〜3万円も払うのがいるという。困ったことだ。これで子供が賢くなるならいいが。私は数学は全然ダメなのだが、ヨーロッパの人は買物をしても暗算ができない、数学下手の私でもできる足し算ができない。世界に冠たる数学好きの日本少年が携帯電話でダメになりはしないか。


つまらないTVは見ないこと

 小泉君は大変な人気だが、あれはテレビを上手に利用しているね。テレビのお陰で長嶋茂夫君や高橋尚子さんなど選挙に出れば1000万票はとる。そのテレビが親が子を殺した、子が親を殺したなどの話ばかり。視聴者の皆さん、つまらないテレビは見ない、という見識を持って下さい。


食料を大事に

 世界中で日本ほど食料を粗末にしている国はない。150年前、マルサスは「人口論」で、将来人類は食料で苦しむだろうと予言したが、その時は食料生産の効率を考えていなかった。しかし、生産性がどれほど上がっても限界がある。中国さえ今は小麦、大豆を輸入している。世界の人口がどんどん増えた時、食糧危機はきっと起きる。


21世紀は心の幸せを願う方向にいく

 今まで話したように、日本(だけではないが)は物造りに懸命になり、物によって幸せを買ってきた。それが今、限界に来ている。これからは心の幸せを探すようになる。心の幸せとは何か。それは私のやっている仕事が一番、と思うこと。この間、細川(もりよし)君の家を訪ねたら生き生きとしている。総理を辞めて目下陶芸に熱中しているからだった。
皆さんもどうか自分の仕事に誇りと自信と喜びをもって励んで下さい。



 渡部恒三氏   昭和7年生まれ、本籍福島県会津町。26歳で県議、36歳衆議院議員。11回連続当選。厚生、自治、通産大臣。現副議長。
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