No,45 平成11年12月18日(土)

■春風駘蕩■  総務 松井  正
 いよいよ厳冬という時期に早くも春風の話とは、と思われるかも知れませんが、“冬来たりなば春遠からじ”といういわれもあることですから。早めに春の気分になろうと思って。

 「春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)」とは字引には“春風がのどかに吹くさま、転じて、性格・態度がのんびりしているさま”とあります。私の好きな4字の熟語の一つです。

 話代わって、過日、東京は文京区で2歳の女児を顔見知りの近くの母親が殺害した事件がありました。初期の報道では「お受験」=「お」が付くけれど地方のこのあたりでは使わない、きたない言葉です=で自分の娘が負けたからとしていましたが、後日、それは関係なく母親同士の心の対立が原因というのが真相、あるいは心の深層ということでした。

 今もって本当は何だったか私の知れるところではありませんが、この事件を聞いて私は二つの話が頭に浮かびました。

 一つは志賀直哉の「范(はん)の犯罪」という短編です。范という男は見世物小屋で板の前に立った妻の体の輪郭に沿い、ナイフを打ち込む技を見世物にしていたのですが、ある日そのナイフが妻の頸動脈にささり、妻を殺してしまいました。その頃妻は不義を働いたと疑われ、范と不仲になっておりました。さて、これは殺意があってのことなのか、単なる過失か。裁判官は自分の心証に沿った判決をするのですが、それが真理(真相)とは言えません。

 もう一つがこの「春風駘蕩」という言葉です。私の友人で家庭裁判所の相談員をやっていたのがいるのですが、調停不調になるのは、どちらもが譲らない、我を通すタイプに起き、調停しなければならない夫婦に「春風駘蕩」の性格の人はいない、という話を聞いたことでした。

 ここで上に述べたことと2歳の幼児の殺害との関連について書くとすれば、この幼児を殺した女の心はマスコミがいろいろ書き立てても本当は分かるものではないということです。あの范の心の本当が何だったか分からないように、神のみぞ知るとしか言えないように思えるのです。ただ、この殺された幼児の母親はいわゆる女のボス的存在で、他人の心を混ぜ返すタイプの人であったようには思えます。いつも自分を譲らず、人より先にものを言ってしまい我を通す、幾つもの報道から、そんなふうに捉えました。「春風駘蕩」の心がない人、私はそんなように思えたのです。殺した女の方にもそれは言えるように思えるのです。しかし、マスコミを読む限りの感想ですから違っているのかも知れません。

 それにしても1999年はいやな世相でした。羊の皮をかぶったオオカミやタヌキやブタを見抜けない人がなんと増えたことか。そして海の向こうでは限りなく人間が人間を漁(あさ)っている。

 どうか来たる2000年の新春からは人類全てに春風駘蕩の心が生じますように。かなわぬ夢を見ています。

■うさぎ年■  看護助手 林 静子
 うさぎ年の私。子供も同じうさぎ年がいいなと思っていたのですが…

 結婚したのが3月、すぐ妊娠しなければうさぎ年の子は無理でしたが子供のできやすい体質だったのか偶然にもすぐ妊娠し、12月に女児を出産、うさぎ年の子になりました。その子も来年には中学へ進級します。年末の忙しい時期なので誕生日も、子供が大きくなるにつれうっかり忘れてしまいそうになります。

 思い返してみると、ついこの間、小学校へ入学したように思うのに、今では一人前の体格の6年生。この子もいつまで親と一緒にお風呂に入るんだろうと、大きくなった体を眺めてしまう時があります。

 ちなみに一番下の女の子は、人に“なにどし”と聞かれると、本当はいぬ年なのにごく最近まで、うさぎ年だと答えていました。女の子にとってうさぎ年は憧れの干支(えと)なのかも知れません。

お 知  ら せ
1)当院の増築完工の日は1月20日に設定されました。2000年の記念すべき時に皆様に喜んで頂ける空間(建物)となるべく、運営には一層の努力を惜しまない覚悟でおります。どうかご支援とお知恵の拝借をお願いしたいと存じます。
 一つは多目的ホールをどのように活用するか。皆様のご意見をお聞かせ下さい。
 二つは「新設 託児室」において入院患者さんのお子様をお預かりできるかどうか、ご意見やご要望をお聞かせ下さい。

2)12月から当院ミニギャラリーは名田庄村小倉畑の青鹿幸代さんの「押し花」です。 ゆるりとご鑑賞下さい。
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