息子の通う日本人学校へのスクールバスには朝夕親が添乗することになっているのですが、父親がいず母親である私が朝から夕まで働いていても添乗を免除してもらえないのに、母親がいない父親は免除されるのはいかにも不公平なのですが、文句の行き場所がありませんでした。小さな子供の母親は主婦に専念し、無職でなければならないのが、このマニラにおける日本人社会の通念のようでした。
一方、5歳の娘が通ったのは地元の幼稚園でも、園児の90%は日本人でしたので、日常は日本語で話していたのですが、先生は英語で話すので必要最低限の英語は覚えたようでした。
ここでは殆どの家庭が自家用車で送り迎えするので、スクールバスを使っている娘はたまにはお母さんが迎えに来て、とせがんだりしました。幼稚園は家からも近く、また私の職場のあるマカティ市内にあるので、できそうですが、これも交通事情の問題で、10分で行けるべき道に数十分かかったりします。往復するのに1時間半〜2時間も想定しなけらばならないので、やはり無理な話でした。
メイドはいい人に当たればラッキーですが、何度言っても同じ間違いをする、言ったことをちゃんとしない、英語が分からないなどの問題があることがあります。私の雇ったメイドは一人は結構きちんと仕事をする人でしたが、もう一人は、お金やネックレスなど盗んで、私が彼女がやったと気がつく前にさっさとやめてしまいました。
私にとってマニラに住むということで、よかったことは、1)住宅の条件はよい(3LDK
家具付)2)メイドは安い(月100ドル程度)、3)一般的に物価は安い、など。でも、しんどい点は、1)人との交渉が大変(話がスムーズに進まない)、2)交通渋滞がとてもストレス、3)日本人社会では母親は主婦で無職であるのが当たり前、という前提、などでしょうか。
海外では日本人社会は大変保守的だという噂(うわさ)
を私の身でこの“母は主婦であるべし”の考えの中に確認したわけですが、このことは日本人に限らず、海外で仕事をする専門職の中で、女性で子育て中の母親であるのはかなり少数派であることに気づきました。国連や援助国(先進国)機関で働く専門職に女性が想像以上に多いのには力づけられましたが、その多くが独身か結婚していても子供がないか、あるいは子供は成長したから海外の仕事に就いたという人でした。
実際、小さな子供がいる女性が働くのは難しいというのは国内でも海外でも同じかも知れません。 (了) |
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