No,26 平成10年5月11日(月)

 宮川先生は日本から派遣の医療奉仕団の一員として去年と今年初め、延べ5ケ月間、アフリカのケニア共和国で支援活動をされました。そして今度はフィリピンの首都マニラでの1ケ月の準備活動を終え、いよいよ5月9日に、まだ小さな2人のお子様を連れて、フィリピン支援に向かわれました。

 先生がご健康で、国際貢献に尽くされますよう、当院の職員一同祈っております。

 この文はケニアからの報告の最終回です。

■第4回 ケニアは今■  産婦人科非常勤 医師 宮川 桂子
 貧困と援助と ケニアに来て、単に物がある国から無い国へ、物を動かすだけでは援助にならないということを実感しています。まず、「貧困」という根本的な問題。貧困のために教育が受けられない、教育がないから字が読めなくて、いろいろな活動の障害になる。教育が無いから今おかれている状況に対して疑問を持つこともなく、改善しょうという意識も育たない。貧困のために犯罪が多発する、汚職が蔓延する。ケニアを含めアフリカの多くの国では最近まで(ケニアでは30年前まで)植民地であって、それ以前は各部族が独自に生きていたわけですから、独立国家としての歴史はとても短い。ですから西欧的な政治体制にうまく機能しなくてもやむを得ないという印象もあります。

 援助はこの人(子)らに本当に役立つものを!

 ケニアでは位の高い人でも我々に、あれをくれ、これをくれ、と遠慮もなしに言います。そのくせプライドはかなり高い。私たちは他人に「(タダで)欲しい」と言うことはプライドを捨てる事をも意味する場合があるわけですが、彼らにはそうではありません。植民地時代に先進国の人間に人間扱いされずに支配されたつけもあると思います。そう言えば、今でもお茶やコーヒーのプランテーションでは、他国の企業が多くの現地人をただ同然の給料で雇い、輸出しています(それが私たちの口に入ります)。途上国の多くの主要産業はとても安い労働力によって支えられ、それらの産物を先進国が享受する構図は今も変わっていません。

 こうして得た莫大な利益は外国の経営者の懐に入り、末端の現地の労働者はいつまで経っても貧困から逃れられないのです。

 さて、日本はODA(政府開発援助)が世界1位と言っても日本が出したお金の多くが日本に戻ってくる仕組みになっています。私たち日本から派遣された者の給料は日本人に支払われます。建物を建てても日本の企業が建てたり売ったりするとお金は日本に返ってきます。建てたり買ったものが有効に利用されれば救われますがそうでない事も多くあります。政府や政府機関の上位で決めてしまうので実際にそれが役立つものかどうかは別問題になるのです。

 政治家が「自分の建てた病院だ」と言っても、水が無いため殆んど使えない、器械は入ったが使える人がいない、と言う例は幾つもあります。

 そう言う意味で私たちの今している仕事は重要です。ここで間違った方向性を出してしまうと、使われない建物や器械や、継続性のない政策を提言することになって、やっぱり援助は無駄だったと言われかねませんから。

 先ずは住民のニーズに合った無理の無い、住民自身で継続できる事への援助。それには住民の意見を聞くことが特に大切だと思います。そして日本人も、無駄な援助をしていないか、自分たちの払う税金の使い方として監視すべきだと思います。

■生死の境で助産婦さん■  看護婦(産婦人科) 湯口 綾子
 私が産婦人科勤務を希望したのは、私自身が5年前に助産婦さんに大変助けられ、励まされ、ケアして頂いた経験があるからです。

 結婚し、初めての妊娠で大変まれな頸管妊娠となり、棺桶に片足を入れた思いをしました。この頸管妊娠は昔ならば子宮全摘出という処置でしたが、今では抗癌剤を使っての処置で治療ができるようになりました。ところが、5日間抗癌剤の筋肉注射をしたら大量の出血があってショック状態になり、輸血をしながらの夜中の緊急手術となってしまいました。もし出血が止まらなかったら、今度は子宮全摘、と話は夫にはいってたみたいです。幸い出血は止まり子宮も残り、その後2人目の子供にも恵まれました。

 あの時、大出血していた私を素手で介助してくれたのが助産婦さんでした。その後、妊娠に対して不安、恐怖にとらわれている私を入院している部屋に何度も足を運び、安心させてくれたのも助産婦さんでした。

 あの時の助産婦さんの親切、情熱は今でも忘れられません。そこでこの医院で働くようになった時、私は産婦人科を希望したのです。患者さんにも私たちスタッフの情熱が少しでも伝わるよう頑張っていきたいと思っています。

付  記
 当スマイルタイムズ24号(3月10日発行)で当院もダイオキシン退治に努力します、と記しましたが、その1つはビニール系(石油化学製品)は一切、埋め立てゴミに回すようにしました。しかしやってみると大変です。月2回の回収なので膨大な埋め立てゴミが溜まります。

 2つめは生ゴミは生ゴミ処理機を購入して処理し始めたのですが、この器械、まだもうひとつというところです。
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